菅田将暉の楽曲「まちがいさがし」の
プロデュース、アニメ映画
『海獣の子供』へ主題歌
「海の幽霊」の提供など、
精力的な活動が続いている米津玄師。

そんな米津玄師が「Lemon」の記録的な大ヒット、
『第69回NHK紅白歌合戦』などを
通して国民的なスターへと祭り上げられたことに
<すごく孤独な気持ちになるんですよね>と語っている。
この発言は米津玄師が表紙巻頭を飾る
「ROCKIN’ON JAPAN」(ロッキング・オン)
2019年7月号のインタビューでのもの。
詳しくは後述するが、「Lemon」
のヒット以降、米津玄師は何度も
何度も週刊誌によりプライバシーを
暴かれる被害に遭ってきた。
そして、そういった記事を喜々として
消費したのは、彼に対して悪意をもっている
人だけではなかったことに、
米津は絶望したのだという。
<俺のことを好きな人までもが、
それを結構喜んでたりするんですよね。
それがいかに俺の個人的なリソースを
圧迫しているかどうかというところまで
考えが及んでいない。それが理解できない>

事務所社長との交際疑惑
彼のプライベートを暴く記事の始まりは、昨年11月29日発売「女性自身」(光文社)と言えるだろう。
記事は、深夜に米津が20代の女性と都内のカフェレストランに3時間ほど滞在していたことを写真付きで報じたうえ、それとは別に、所属事務所社長の女性との疑惑を書き立てた。
この女性は、楽曲製作に没頭するため
引きこもりがちな米津の生活をサポートするため、
米津の自宅マンションに深夜まで
滞在することがあるという。
このことから、米津との
“同居”を疑う記事を出したのだ。
週刊誌記者が米津玄師の実家をゲリラ訪問
翌年1月10日発売の「週刊文春」(文藝春秋)も
同じような記事を掲載。同誌では、
所属事務所社長の女性が私生活の
パートナーだった過去があり、
半同棲状態だったこともあると報じていた。
さらに「週刊文春」の記事は
これで終わりではなかった。

なんと、正月明け早々、「文春」記者が
米津の実家をゲリラ訪問しているのだ。
1月6日に記者が出向き、
『紅白歌合戦』の感想を聞いている。
記者による<紅白はどうでした?>との
質問に対し、父親が<私、紅白、見てないんで。
関心がないんで!>と会話を切ろうとする一方、
母親は<いえいえ、そんなことはないんですけど。
私たち両親は温かく遠くから見守っていくだけです>と
場をおさめようとしながら、
<取材はお断りしてくださいということなので、
すみません>と、丁寧に拒否。
事務所から取材は止められていることを理由に、
それ以上の回答を控えた一部始終が、
同誌には掲載されている。
米津本人への取材であれば、100歩譲って
許される場面もあるかもしれないが、実家にまで
押し入ってプライバシーを蹂躙するような取材に、
実りはあるのだろうか。
高校時代の卒アル写真を掲載
4月23日発売「FLASH」(光文社)もひどかった。
「FLASH」は米津が高校生のときの修学旅行、
体育祭、卒業アルバムの写真を掲載。そして、
中学・高校の同級生や近隣住民への取材から、
学校では内にこもりがちだったという“青春時代”を
ほじくり返したのだ。
記事によると、昼休みはいつもイヤホンを
つけて音楽を聴いている大人しい生徒であった一方、
音楽に関しては強い野心を抱いており、
<俺は将来、絶対売れるんで、写真を残したくない>と
周囲に語ったことがあるという。
この発言があるうえで卒アルの写真を
載せているのだから、悪意としか言いようがない。
珍獣扱いされる米津玄師
米津はビジュアルイメージを含め
徹底したコントロールのもとでメディア露出を
展開しているのでミステリアスなイメージがつきやすい。
前掲「ROCKIN’ON JAPAN」では<謎な人間みたいな。
テレビに出て一言しゃべったら『しゃべった!』って
言われるぐらい(笑)><いや、
しゃべるだろうがっていう(笑)。
そういう珍獣みたいな扱いを受けてるのが、
ほんとに嫌なんですよね>と語っているが、
週刊誌が面白おかしく彼のプライベートや過去を
暴こうとするのは、そういった謎めいたイメージがあるというのも大きいのかもしれない。
しかし、米津はこういった現状に負けて内に
内にこもろうという気はないようだ。
彼は<悪意を持った人にも、片や自分のことを
好きな人に対してまで、いろいろなことを思ってしまう。
で、どんどん自分が孤独になっていくというか。
そういう悪い、負の連鎖にだけは
絶対に押し入らないようにしたいと思う>
としたうえでこのように語っている。
<これからの人生は、もっとより誰かを信用していくという、
誰も彼も疑わなければならないような環境にいるからこそ、
より誰かを信用して生きていくってことが
大事なのかなというふうに今は思います>
米津は前向きな捉え方をできているが、
それでも傷ついていることは紛れもない事実だ。
週刊誌のプライベート暴きに報道としての価値はあるのか、
メディアは立ち止まって倫理観を見直すべきだろう。
